株式会社キャリコ

イバキャリへの想い――群馬での原体験から、茨城、そして北関東の未来へ――

記事画像
開発秘話
いいね 1440/10)
応援する 応援する 2
閲覧数 閲覧数 37
投稿日: 2025.08.15

序章:群馬県での原体験


インスタ01.png 655.82 KB

私が「地方の企業の魅力をもっと若者に伝えたい」と強く感じたきっかけは、群馬県が主催し、私の会社キャリコが企画運営を担当した「ぐんま就活バスツアー」でした。

ツアーで訪れたのは、県内でも有数の精密部品製造メーカー。正直に言えば、企画に関わるまで私はその会社の名前すら知りませんでした。

工場に足を踏み入れた瞬間、現場の熱気に圧倒されました。機械音が響き、作業員の方々が真剣な眼差しで製品を組み立てている。そこで出会った工場のおじさんが、まるで少年のような瞳で自社の製品について語ってくれたのです。
 私には、その情熱がとてもかっこよく映りました。しかし、ツアーに参加していた大学生たちの反応は違いました。製品の専門的な説明は難しすぎて、何がすごいのか理解できない。彼らには、ただ暑苦しいおじさんが話しているように見えてしまったのかもしれません。

さらに衝撃だったのは、参加者の多くが「こんな大きな会社が地元にあることを知らなかった」と言っていたことです。これが現実なのだと、胸がざわつきました。



気づき:伝わらない企業の魅力


32808558_m.jpg 300.22 KB


このとき、私は気づきました。
日本では「働く」ということと「教育」があまりにも分断されている。多くの学生は大学3年生になってから急に就職活動を始め、「とりあえず内定を取れればいい」というスタンスになってしまう。そこに主体性はなく、仕事に対してネガティブな印象を持っている人も少なくありません。

また、企業側にも課題があります。製品そのものは世界的に通用する技術を持っているのに、その価値を若者に伝える「翻訳」ができていない。説明が専門的すぎて、日常生活との接点やストーリーが見えない。Z世代はストーリーテリングに慣れています。だからこそ、「なぜその製品が存在するのか」「誰のどんな課題を解決しているのか」という物語を語る必要がある。

写真や映像の活用不足、プレゼン力の弱さも目立ちました。現場の雰囲気や社員の笑顔、製品が使われている場面をもっと見せるだけで、印象はガラリと変わります。



イバキャリ構想の誕生


32362522_m.jpg 874.39 KB


群馬での経験を通じて、この課題は群馬だけでなく、私の地元・茨城県にも共通していると確信しました。
特に茨城の製造業には、精密部品や最先端の技術を持つ企業が数多く存在します。しかし、その多くは若者に知られていません。さらに、茨城は東京に近いという地理的メリットがある反面、その近さが若者の流出を加速させています。「東京でホワイトカラーの仕事をした方がかっこいい」という価値観が根強く、地元で働くことは泥臭く見られがちです。

でも私は思うのです。
 東京の華やかな仕事も、実は地方の製造や物流などの基盤があって初めて成り立っています。地方の一次産業・二次産業がなければ、首都圏の経済は回りません。

そこで生まれたのが「イバキャリ」です。
 企業の魅力を若者に“翻訳”して伝える仕組み。企業説明資料を若者目線で編集し直す。現場で働く人のストーリーを掘り起こす。そして、中高生や大学生が「働くって面白そうだ」と思えるきっかけを作る。



茨城と北関東の可能性

3864950_m のコピー.jpg 1.85 MB


北関東三県(茨城・栃木・群馬)の人口は約670万人。これは北海道や福岡県を大きく上回る規模です。マーケットとしては決して小さくありません。
 特に茨城県は、つくば市をはじめ研究・教育機関が集積し、人口が増加している地域もあります。つくば市では新たに小学校が増設されるほど、若い世代が流入しています。

また、北関東は東京からのアクセスが良く、IT化やDXの導入によって、これまで首都圏でしかできなかったような仕事も可能になりつつあります。製造業においてもIoTやAIを活用したスマートファクトリー化が進み、現場の働き方は大きく変わろうとしています。



企業と若者をつなぐ翻訳者として


イバキャリが目指すのは、単なる求人サイトではありません。
 私たちは、企業と若者の間に立つ“翻訳者”です。社長が語る熱い理念や、現場で働く社員の誇りを、若者にも届く言葉に変える。時にはくすっと笑える小ネタを交えながら、企業のストーリーを描く。それが、採用力の向上だけでなく、地域の魅力を高めることにもつながります。

精密部品製造業のように、一見すると地味に見える仕事でも、その先には自動車・医療機器・宇宙産業など、世界を支える大きな役割があります。そこに誇りを持てる人材を増やすことこそ、地方創生のカギだと考えています。



未来に向けたビジョン


私はもっと、中高生のうちから「地元にも面白い仕事がたくさんある」と知ってもらいたいと思っています。社会に出る前から多様な選択肢に触れ、自分の興味や価値観を育む。そうすれば、就職活動が「とりあえず内定を取るためのレース」ではなく、自分らしいキャリアを選ぶ機会になるはずです。

同時に、企業も採用・広報を内製化だけに頼るのではなく、アウトソースを活用しながら現場の生産性を高める時代です。RPO(採用代行)を含め、地域の採用力を底上げする仕組みを整えることで、北関東全体の魅力を引き上げたいと考えています。

茨城でも、群馬でも、そして北関東全体でも。
 光る企業は必ずあります。その魅力を見つけ、言葉にし、映像にし、若者に届ける。イバキャリはそのために生まれました。
 そしてこの活動は、地域に根付く企業を元気にし、そこで働く人々の誇りを取り戻すことにつながると信じています。


記事一覧へ