茨城県・千葉県を中心に地域密着型のスーパーマーケットを展開する株式会社タイヨー。今年で創業60周年、堅実な「無借金経営」を貫きながら着実に成長を続ける同社で、人財採用課マネジャーを務める松村朋幸氏に、タイヨーが求める人財や、大切な社員への教育方針、さらには面接官としてのリアルな評価基準から、これからのAI時代の採用論など、熱く語っていただきました。 学生ライターの鈴木がインタビューさせていただきました。
株式会社タイヨー 人事部 人財採用課 マネジャー 松村 朋幸
タイヨーの“正直さ”に惚れた。松村氏がタイヨーに入社した理由
鈴木:松村さん、本日はよろしくお願いいたします!まずは松村さんご自身がどのような経緯でタイヨーに入社され、今に至るのか、自己紹介を兼ねて教えていただけますでしょうか。
松村氏:よろしくお願いします。私は1974年生まれで、大学を卒業した1997年に新卒でタイヨーに入社しました。実は、もともとは学校の教師志望だったんです。大学も茨城県内の教育学部で、中学校の社会科教員になりたいと思っていました。しかし、自分が思い描いていた教師像と、当時の学校現場の実情が違いすぎていたため、1年生の秋くらいに教師は諦めました。
鈴木:教師を諦めた後は、どのように就職活動をされたのですか?
松村氏:塾の内定をいただいたりもしたのですが、自分が甘えられる環境に行くのが嫌だったんです。だから就活の中では、常に厳しい方の道を選ぶというポリシーを持っていました。どうせ就職するなら楽して生きる道は選びたくなかった。そんな時に出会ったのが、タイヨーだったんです。
鈴木:タイヨーとの出会いの中で、松村さんが惹かれた魅力は何だったのですか?
松村氏:とにかく、うちは「嘘をつけない、正直な会社」です(笑)。私が学生時代にタイヨーの説明会に参加したとき、先輩社員に言われた最初のセリフが今でも強烈に残っています。
「皆さん、タイヨーは低価格販売の会社なので、正直、勝つために売らないと儲からないです。お客さんもめちゃめちゃ多いですし、商品もいっぱい売らないといけない。作業量はめちゃめちゃ多いです。本当に忙しいですよ。忙しいのが嫌な人は絶対に今のうちにやめた方がいいです」と、はっきり言われたんです。
鈴木:就職活動の場で、あえて厳しい現実を正直に伝えてくるのは当たり前だと思いがちですが、なかなかの衝撃だったのではないでしょうか。
松村氏:すごいインパクトでした。でも私は、そこまで正直に厳しい面を開示してくれる会社だからこそ、深く信頼できるなと思ったんです。今の採用活動でもそのポリシーは全くブレていません。会社の良い面だけを伝えて、入社した後に「こんなはずじゃなかった」と辞められてしまうのは、学生にとっても会社にとっても一番不幸ですから。不利に見える情報であっても、覚悟を持って入ってきてほしいからこそ、最初からすべてを正直に開示します。
会社説明:人を育てて着実に出店する、創業60年の「無借金企業」
鈴木:ここで改めて、タイヨーさんがどういった会社なのか、詳しく教えていただけますか。
松村氏:はい。タイヨーは今年(2026年)で創業60周年を迎えます。1966年に個人商店として始まり、1972年に会社組織になりました。現在は茨城県、千葉県、そして東京都まで、42店舗の地域愛着型スーパーマーケットを展開している企業です。
鈴木:屋号もいくつか展開されていますよね。
松村氏:主に「スーパータイヨー」「ビッグハウス」「ベストリカー」、都内は「イキイキ生鮮市場」という4つの店舗と、茨城・東京で「シャトレーゼ」のフランチャイズ店を4店舗経営しています。私たちの大きな特徴は、創業以来徹底して「無借金経営」を貫いていることです。バブル当時、大手の小売業者の中には借金をしてどんどん会社規模を大きくすることを目指した企業もありましたが、タイヨーの目的は会社の規模を大きくすることではありません。いかに人を育てながら、一つひとつ着実に出店していき、地域に長く必要とされる店を作っていくか。そこは創業から60年、全くブレていません。
重要なのは「汗水垂らして、お客様のためになることを誇れるか」
鈴木:タイヨーが求める人財像、面接の際に見ているポイントはどこにありますか?
松村氏:まず大前提として、この業界が、そして「人と接すること」が嫌いではないことです。その上で、タイヨーは多くのお客様に信頼をいただいている分、はっきり言って忙しい会社です。私たちのビジネスモデルは、より多くのお客様に来ていただき、多くの商品を買っていただくことで、1個あたりの利益幅は小さくても最終的に会社としての利益を確保するスタイルです。どうしても、ある程度人海戦術になる部分があります。
鈴木:その「忙しさ」の先にある意味を理解できるか、見出すことができるかということですね。
松村氏:その通りです。単純に「負担が少ない仕事」を求めるなら、他を当たった方が正直いいと思います。ただ、世の中には、こうして汗水垂らして、お客様のために泥臭く働くことで、地域に貢献できる素晴らしい仕事がある。タイヨーがあることで地域の暮らしが向上し、全体的な生活水準が守られているという自負が私にはあります。その「地域への貢献」を誇りに感じられるかどうか、ある種の覚悟と決意があるかどうかを私は見ます。
活躍する社員の共通点―― 研究熱心な人たちの大きな成長
鈴木:実際に入社されてから、頭角を表す、活躍する社員にはどんな共通点がありますか?
松村氏:一言で言えば「研究熱心な人」です。例えば、休みの日にわざわざ競合店を見に行って、「何か自店に使えるものはないか」「いいところはないか」と進んでネタ探し(いいとこ探し)をしているような主体的・自発的な人ですね。あとは「ものすごくメモを取る人」です。
鈴木:メモ、ですか。具体的にどういった風にノートを活用しているのでしょう。
松村氏:以前、すごく伸びた新入社員がいたのですが、仕事が終わった後に毎日ノートを書いていたんです。その日に先輩から指摘されたこと、自分で気がついたことを全部目に見える形にして書き残している。だから1年目の終わりにはノートがものすごく分厚くなっているんです。おもしろいのは、2年目、3年目になると、仕事ができるようになっていくのでノートの量がどんどん減っていくんです。
鈴木:自分の成長が可視化されるのですね。
松村氏:そうです。本人が成長を実感できると同時に、その分厚い1年目のノートは、次に後輩が入ってきた時の「教える材料(マニュアル)」になるわけですよ。お店の売り場の仕事って、一見すると毎日同じことの繰り返しに見えます。でも、その中で「新しくこういう手立てをやってみよう」「こうやって売ったらおもしろいんじゃないか」と日々考えて、いざチャンスが来た時のために自分の引き出し(準備)を作っている人。そういう姿勢で日々考えて動いている人は、自ずと目に見える差をつけて頭角を表してきます。

「タイヨーを辞めても、社会で通用する人財を育てる」という教育方針
鈴木:社員の教育や研修体制については、どれくらい力を入れているのでしょうか。
松村氏:私たちは社員を「人財」と表すくらい、教育には投資しています。外部の方からも「タイヨーさんは研修の機会が本当に多いですね」と言われます。1年目の新入社員研修はもちろん、3ヶ月ごとのフォローアップ研修、さらに5年目までは「ステップアップ研修」として、同期が年に3〜4回必ず集まる定例の場を設けています。同期が集まって、オフィシャルな場面も含めて日頃の悩みを吐き出したり、情報交換をしたりする機会を作っています。
鈴木:スーパーの専門知識だけでなく、もっと普遍的なビジネススキルの教育も行っているんですよね。
松村氏:はい。主軸に置いているのは「社会人として、中堅になっていくプロセスで身につけるべき仕事の進め方や考え方」です。仮にこの会社を辞めることになったとしても、社会のどこに行っても通用する人作りをする。それがタイヨーの教育方針です。結婚や介護、引っ越しなど、人生には様々なライフイベントがあります。北海道や大阪に行ったら、タイヨーはありません。そのときに、うちで働いた数年間がリセットされてしまうのはあまりにももったいないじゃないですか。違う業界に行ったとしても、ここで身につけた仕事の進め方やマインドを持っていけるようにしてあげたい。それが、社員一人ひとりに対する私たちの想いです。
鈴木:働くスタッフの方々は、どういった人柄の方が多いですか?
松村氏:一言で言うと「キャラクターの濃い人」が多いですね(笑)。それと、ものすごく面倒見がよくて、人が困っていると放っておけない、おせっかいなくらい手を差し伸べるタイプが多いです。店舗のどこかの部門が忙しくて大変な時は、他の部門が自然と応援に入る。そんな「助け合い」の精神が流れる、温かさがある職場だと思います。
もしインタビュアーの鈴木が面接に来たら?
鈴木:ここで少し難しい質問をさせてください(笑)。もし、今こうしてインタビューしている私がタイヨーの面接に来たとしたら、松村さんはどう評価されますか?
松村氏:そうですね、材料は少ないですが(商売の特性上、臨機応変な対応力は深掘りするとして)、まず私たちは接客業である以上、「笑顔」はものすごく大事な要素なんです。その点で鈴木さんはすごく良かった。何よりハキハキと喋って、伝えるべきところをしっかり伝える。声の大きさも含めて、非常に気の良い姿勢で接していただいたのは、面接官としても間違いなくすごく良い評価になります。
鈴木:ありがとうございます!一番困ってしまうのはどういったタイプですか?
松村氏:本当に一番困っちゃうのは、話が分かったのか分からないのかリアクションが薄かったり、返事が小さかったりするタイプですね。「言いたいことがあるなら言ってほしいな」ともやもやします。それだとお客様から見ても「いらっしゃいませ」すら言わない、聞いても要領を得ない、ということになってしまう。そうなると、もはや「人がそこにいる意味、人がやる理由」がなくなってしまうんですよ。それならAIやロボットを置いておいた方がいい、という話になってしまいます。
「なんとなく大学に行きました」が一番危ない―― 激変する時代を生き抜く求職者へ
鈴木:今の「人がやる意味」というお話は、これからの時代の求職者にとって非常に重要なテーマですね。
松村氏:本当にそうです。個人的な意見として申し上げれば、これまでのような「売り手市場(人手不足だからなんとなく就職できる時代)」は、あと数年で、業界によっては完全に終わる可能性があると思っています。理由は、AIやITの劇的な進化です。大手企業であればあるほど、今まで新入社員や若手がやっていたようなホワイトカラーの仕事は、すべてAIに代替させた方が手っ取り早くて正確だということに気づき、莫大な投資を始めています。幹部候補となるような一握りの、高い専門性や実績を持つ優秀な学生には大きな投資をして採用するけれど、「普通の事務職、なんとなくの大卒」は必要ない、という時代がすぐそこまで来ています。
鈴木:求職者側のハードルが、急速に上がっていくのですね。
松村氏:はい。自分の市場価値を冷静に把握し、早くから将来のことを見据え、覚悟をもって自分を高めなければ、大卒ホワイトカラーの仕事には就けなくなります。一方で、私たちのような「現業職(現場で手を動かすような職業)」の価値や賃金は、これからものすごく上がっていくはずです。世の中、介護やゴミ収集、そしてお店で商品を並べて直接接客をする「人」がいなければ、現実問題として社会が回らないからです。
鈴木:レジの自動化などはさらに進みますが、だからこそ「人の価値」が上がると。
松村氏:その通りです。だからこそ「人がやる意味、人である理由」を突き詰められるかどうかに、これからの生き残る道があります。マニュアル通りのことしか言えないならロボットでいい。お客様に対してハキハキと、笑顔で、伝えるべき温かみをしっかり伝えられる。その「人だからこそ感じる良さ」を体現できる人財が、これからの時代に本当に求められる存在になります。なんとなく安泰を求めて大企業へ、という考え方は一番危ない。ぜひ、早いうちから社会の変化を見据えて、自分が本当に輝ける価値を模索してほしいですね。
インタビューを終えて
松村様とお話しさせていただき、社員の方への想いを非常に感じることができました。地域のため、タイヨーで働く方々のためという想いを人一倍感じるインタビューでした。
また個人的にも、就活が始まる前の時期に人事の最前線でお仕事をされている松村様のお話を聞くことができ、学びと同時に、身が引き締まる思いです。
松村様はお忙しい中ではあったのですが、終始笑顔で様々なことをお話ししてくださいました。タイヨーがもつ地域貢献への誇りは、売り上げや会社規模などの「見える部分」とは異なる大きな価値があるのではないかと感じました。
社員のことをここまで考えているタイヨーで働くことは、大きな成長につながるのではないでしょうか。
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