栗山工業株式会社

【社長インタビュー 前編】 世の中に必要とされる会社へ――ICTやデジタルを武器に、次世代に引き継がれるものづくりを目指す栗山工業の挑戦

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採用現場から 創業ストーリー TOPインタビュー
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投稿日: 2026.08.03

茨城県美浦村を拠点に、40年以上にわたり道路や上下水道といった地域のインフラを支え続けてきた栗山工業株式会社。歴史ある企業でありながら、近年はドローン測量や3Dデータを駆使した「最先端のICT施工」をいち早く導入し、業界のDXを牽引しています。 しかし、その挑戦の裏にあるのは、「強烈な危機感」でした。夜中まで働くのが当たり前だった旧態依然の建設業を、自らの手で変革しようと立ち向かう栗山秀樹社長。栗山社長の会社や仕事への想い、その人となりをお話ししていただきました。学生ライターの鈴木がインタビューさせていただきました。


父親の背中を見て育った長男が、他社での修行を経て戻ってきた理由


鈴木:まずは栗山工業さんの沿革や、事業内容を含めてどんなことをされている会社なのか教えていただけますか?


栗山氏:栗山工業株式会社は昭和59年(1984年)創業で、40数年経つ会社です。主な職種は建設業の土木工事がメインで、美浦村を中心に、阿見町など茨城県の県南地域をメインエリアとしています。


鈴木:茨城県の県南地域が中心なんですね。工事の割合としてはどのようなバランスなんですか?


栗山氏:割合としては公共工事が8割、民間の工事が2割ほどですね。道路を作る工事や、上下水道のインフラ工事が多いです。


鈴木:創業はお父様だそうですが、昔から「いずれは自分が継ぐんだ」という気持ちはあったのでしょうか?


栗山氏:いえ、親から「継げ」と言われたことは一度もないんです。ただ、田舎で商売をしている長男というのもあって、なんとなく自分もそういうもんなのかな、というのはありました。


鈴木:自然とその道に進むんだろうという感覚があったんですね。


栗山氏:幼少期から自然と土や自然の中で遊ぶのが好きでしたし、父親の車の助手席に乗ったり、重機にちょっと乗らせてもらったりして、小さい時から興味があったんです。インフラ整備という仕事の性質上、「建設業はなくならないだろう」という思いもあり、自然とこの環境の中で育って「やってみようかな」となりました。


鈴木:大学を卒業されてから、すぐに栗山工業に入社されたんですか?


栗山氏:いや、最初は他の建設会社でお世話になり、現場のノウハウを勉強させてもらいました。修行時代ですね。当時の自分は建設業自体のことが全然わからなかったので、他の会社で8年ほどお世話になってから戻ってきました。


「ないものを一つひとつ積み上げていく」——トンネル開通で知った土木の醍醐味


鈴木:他社での修行時代も含めて、建設業という仕事の楽しさや喜びはどんなところにありますか?


栗山氏:一般的なお仕事と違って、毎回毎回現場が違うところですね。環境も、作るものも違う。何もないところから一つひとつ積み上げて形にしていくモノづくりの観点が面白いです。


鈴木:毎回違う環境だからこそ、それぞれの環境でのワクワク感がありそうですね。


栗山氏:そうですね。作ったものを地域の皆さんに使ってもらえるのが一番のやりがいのなのかなって思います。


鈴木:地域の方のためになっていると、目に見えて実感できる瞬間があるわけですね。


栗山氏:修行時代の最後に担当した、守谷市のトンネル工事の現場が今でもすごく心に残っています。そこは本当に道路が何もない場所だったんですよ。そこに新たにトンネルを通して、道路ができて、それが地域の皆さんの生活のプラスの要素になっていく。道路が開通した後にそれが見に見えて分かったとき、「あ、社会の役に立っているな」と感じられました。今は現場を離れてしまったので直接的なものではないですが、自社で作ったものが使われるようになれば、それはそれですごい達成感というか、良かったなと思える大きな醍醐味ですね。


急な事業承継で生まれた、次世代への「経営理念」


鈴木:栗山工業さんの経営理念として「次世代に引き継がれる最高のものづくりを提供していく」という言葉がありますが、これは創業時からあったものですか?


栗山氏:いえ、もともとうちの会社にはこういう理念や軸は一切なかったんです。これを創ったのは、自分が会社を継いだタイミングでした。


鈴木:栗山社長ご自身が作られたんですね。そこにはどういった想いや背景があったのでしょうか。


栗山氏:会社を継いだとき、「これから長く会社を続けていくためには、こういう一つ明確な軸がないとこれからの時代は難しいな」と思ったんです。


鈴木:会社の軸が必要だと。


栗山氏:企業って、世の中に必要とされないと生き残れないと思うんです。じゃあ、今の自分の立ち位置や会社の存在意義を考えたときに、何が必要か。自分たちが構築してきたものが社会に残り、次の世代にも引き継がれるような、いいモノづくりをしていきたい。それを社員の皆さんと共有しながら1日1日をやっていきたいなと思って今の理念を作りました。


鈴木:経営の軸を作ろうとしたのですね。でも、事業承継のタイミングはかなり大変だったとお聞きしました。


栗山氏:そうですね。父親が37、38歳くらいの若さで亡くなったんです。いわゆる事業承継って、本当は時間をかけて準備をしていくべきものなんですが、私の場合はあまり準備ができないまま、急に社長になってしまった。


鈴木:心の準備もないまま社長に...。現場のこととはまた違いますもんね。


栗山氏:現場のことはある程度わかっても、経営のことに関しては本当に素人でしたから。最初は資金繰りとして銀行にお金を借りたり、毎月の支払いのスケジュールを立てていったり、そういうのを全部自分でやらなければならなかったので本当に苦労したと思います。


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毎日深夜12時まで帰れない。かつての「旧3K」から、ICT施工による「省人化・定時退社」への大転換


鈴木:栗山工業さんは、業界内でもかなり早い段階からICT施工やデジタル化に力を入れていますよね。そこにも何かきっかけがあったのですか?


栗山氏:それはもう、自分がこの業界についてからの強い「危機感」です。同じ茨城県内でも地域によって全然状況は違うと思うのですが、その中で会社として生き残っていくためには、何かしら差別化できるところ、強みが会社として持っていないと生き残れないなと思ったんです。


鈴木:他社との差別化ですね。それを考えた先がデジタル化だったということですね。


栗山氏:ずっと何がいいのかなと考えて進んでいたときに、デジタル化っていうのは、これからなくてはならないところであるなと思ったので、そのICTに力を入れようと思いました。


鈴木:実際にデジタル化を取り入れたことで、現場や社員の方の働き方に効果は出ていますか?


栗山氏:すごく出ていますよ。現場において「省人化」と言って、人を減らして現場が回るようになりました。これによって、今の働き方改革の時代に合わせたスマートな働き方ができています。


鈴木:昔の建設業のスタイルとは、時間の使い方も全然違いそうですね。


栗山氏:私が若かった20代の頃なんて、残業バンバンやるのが当たり前のスタイルでしたからね(笑)。私が28歳くらいのときに現場に行っていたときは、大体毎日朝に現場に行って、夕方現場が終わって事務所に帰ってきてから、今度はデスクワークや次の日の準備をする。大体夜22時から24時くらいまでやって帰るのが当たり前でした。


鈴木:朝から夜中の24時ですか...!1日の労働時間は相当なものですね。


栗山氏:1日の労働時間でいうと12時間から14時間労働ですね。自分一人だけじゃなくて、みんな帰らないし帰れない。当時はそういう悪しき風習というか慣習が文化としてありました。


鈴木:今はどれくらいの労働時間なんですか?


栗山氏:今はそんなことできないですし、生活様式も変わってきましたからね。今はなるべく定時で上がって、土日は休んで家族とゆっくり過ごしたり、好きな趣味を見つけたりしてほしい。うちの現場でも、竣工前は書類を作ったり仕事が重なるので多少遅くなることはあっても、基本的には今だったら大体みんな定時で帰っています。ICTやデジタルの良いところを取り入れることで、昔ながらの良い技術も継承しながら、社会の風潮と合わせられるように進めています。


得意なところで輝けばいい。分業化で個人の得意を活かす組織づくり


鈴木:とはいえ、保守的なイメージのある建設業界の中で、現場の職人さんや社員の方に新しいデジタル機器やICTを浸透させるのって、すごく難しいことだと思うのですが、そのあたりはどうでしたか?


栗山氏:そうですね、建設業界自体がかなり保守的ですし、新しいものが浸透しづらかったり、選択肢が少なかったりと課題はいろいろあります。しかも私自身もそんなにデジタルが得意なわけでもないんです(笑)。


鈴木:栗山さんご自身も得意なわけではないんですね(笑)。


栗山氏:ただ、新しいものを取り入れるのは嫌いじゃないので、自分一人ではできないからこそ、社員のみんなと一緒にいろいろ考えながら課題をクリアしてきたというのが最初ですかね。


鈴木:組織への浸透や工夫という点では、いかがですか?


栗山氏:工夫していることというか、意識していることとしては、人によって「得意・不得意」が絶対にあるということです。得意なところとそうじゃないところが出てくるのは当たり前なので、得意な人には3D測量などのICTをどんどん覚えてもらえばいいですし、得意じゃない人には少しずつ取り入れてもらうか、もしくは違うところで活躍してもらえばいい。


鈴木:全員が同じことを完璧にできなくてもいい、ということですよね。


栗山氏:はい。今考えているのは、もうちょっと「分業化」ができないかなということです。ICTをやる人はデスクワークの要素をもう少し増やす、現場が得意な人は現場の要素をもう少し増やす。その人によって、自分の得意分野でやりがいを持って働いていけるように、私も一緒にコミュニケーションを取ってやっていきたいと思っています。


バーベキューなどの行事や趣味でつながる柔らかい風土


鈴木:栗山工業さんで今働いていらっしゃる社員さんは、どういった方が多いですか?社長の視点から見ていかがでしょう。


栗山氏:建設業界全体が高齢化していると言われますが、うちは30代もいますし、40代・50代が多くて、建設業界の中では割と若い人たちが多いかなと思います。


鈴木:比較的若い層の方々が揃っているんですね。社内の空気感はどんな雰囲気ですか?


栗山氏:会社の雰囲気も、昔の建設業のような強面な感じはなくて、割と柔らかい雰囲気ですね。自分で言うのもなんですけど、私自身がソフトな感じを出しながらやっているところもありますし、実際に働いているスタッフも柔らかい感じの人が多いと思います。


鈴木:社内の雰囲気が柔らかい。何か普段のつながりが見えるようなエピソードはありますか?


栗山氏:コロナ禍のときはなかなかコミュニケーションが少なかったんですが、少し前にみんなで宿舎のところで親睦のバーベキューをやったり、現場のチームごとに飲み会をやったりしていますね。


鈴木:バーベキューや飲み会、すごくいいですね。プライベートでもつながりがあるんですか?


栗山氏:共通の趣味でつながっている人も多いです。私はゴルフばかりやっていますが、社員同士で一緒に釣りに行ったり、サッカーを観に行ったり。みんなの趣味が多様化しているので全員で一斉に、とはならないかもしれないですが、それぞれの好きな楽しみの中でつながってもらえたらなと思います。


鈴木:今後、新しく入ってきてほしい人はどんな方ですか?


栗山氏:先ほど申し上げたように適性に応じた働き方を一緒に作っていきたいので、未経験者でも「パソコンが得意」「機械をいじるのが好き」「ずっと自然の中で過ごすのが好き」など、人それぞれの得意がある方であれば、楽しく働くことができると思います。


鈴木:活躍している人の共通点を挙げるなら、どういった部分でしょう。


栗山氏:「興味を持って仕事に取り組んでいる人」ですね。他には、「言われなくても自分で率先して考えて動ける人」。現場によって作るものも環境も携わる人も変わってくるので、その中で自分から動いていくというのは非常に大事な要素になってきます。こういったところは前提に、一緒に働いていくことを通しながら様々なことを吸収してもらえたらなと思います。


前編では、栗山社長の会社や仕事への考え方、栗山工業株式会社という会社について、たくさんお聞きしました。後編では、栗山社長のパーソナリティも含めて、お話を聞いてきました。

後編へ続く(後編記事のURL)

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