株式会社しびっくぱわー
【社長インタビュー】「死ぬかもしれない」から始まった起業。迷ったら全部やる先輩が語る、茨城で“自己決定”するキャリア論
「迷ったら全部やる」。そんな強烈なポリシーを掲げ、つくばを拠点にコワーキングスペース「Tsukuba Place Lab」の運営や行政コンサルなど、あらゆるプロジェクトを牽引する株式会社しびっくぱわーの堀下恭平社長。筑波大学在学中に起業し、数々の「場」を作ってきたつくばのレジェンド的先輩に、イバキャリ学生編集部の山田が直撃インタビュー! 「なぜ茨城を選んだのか?」「どんな仲間と働いているのか?」――若者が茨城でキャリアを築くためのヒントが詰まった、熱すぎるインタビューをお届けします。「そこそこの人生」への危機感と、3.11の原体験山田:本日はよろしくお願いします! まずは、堀下さんが起業された経緯から教えてください。大学に在学している時から事業を始められたんですよね?堀下社長:大学1年の終わりがちょうど3.11(東日本大震災)だったんです。いつか起業しようとは思ってたんですけど、その時「本当に死ぬかもしれない」と思って。慌ててやりたいことをやらなきゃと、震災直後の3月31日には開業届を出しました。そこからカフェの立ち上げや、行政の計画策定支援などのコンサルを始めて、2014年12月に法人化しました。山田:「死ぬかもしれない」という衝撃が原動力だったんですね。周りの同級生が普通に就活をしていく中で、自分だけ起業の道へ進むことに不安はありませんでしたか?堀下社長:正直、全くなかったですね。むしろ、「そこそこ勉強して、そこそこの研究室に入って、そこそこの人生を送ること」に対してすごい危機感が強かったんです。他人と違うことへの不安感みたいなものは、今まで一度も感じたことがないですね。新しい挑戦がしやすい街、つくば山田: 堀下さんは熊本県のご出身ですよね。大学卒業のタイミングで東京に出たり地元に帰ったりせず、あえて「つくば(茨城)」を拠点に選んだのはなぜですか?堀下社長: 理由は大きく2つあります。1つは、当時の彼女(今の妻)が茨城のつくば出身だったこと。もう1つは、つくばは「新住民」が多い街で、何か新しいことを始めようとした時に足を引っ張る人がめちゃくちゃ少ないと感じたからです。新しい挑戦がしやすい街だからこそ、つくばで新しいことを始める人の挑戦を「応援」するのはすごく合理的でいいなと思いました。山田: 社名の「しびっくぱわー(Civic Power)」という社名も、そうした「応援」の姿勢と関係しているんでしょうか?堀下社長: そうですね。「市民の力を集結させたい」という意味でシビックパワーという音を先に決めました。ただ、僕ら自身が強くあるというよりは、みんなの意見を集約するような柔らかい役割になれるといいなと思って、ひらがな表記にしています。山田: 実際、いろいろな事業を展開されていますが、共通する「軸」はどこにあるのでしょうか?堀下社長: 基本的には「誰かの挑戦を応援する」というのが一貫した軸です。マイナスをゼロにするサポートというより、プラスをより大きなプラスにしていくことが得意領域ですね。アグレッシブに挑戦する人たちを支えた結果、今のコミュニティ醸成や企業支援に行き着いています。社員は起業家だらけ!? 妥協を許さない組織のリアル山田: 会社組織について伺います。堀下さんのようなカリスマ性のあるリーダーがいる職場って、社内の雰囲気はどんな感じなんですか?堀下社長: めちゃくちゃ距離は近いし、仲はいいと思いますよ。うちは僕以外、全員社員とインターンしかいなくて階層がないんです。今、社員が12名、インターンが35名くらいで、高校生インターンもいます。ただ、社員は僕より年上の方が多いですね。山田: どんな人材と一緒に働きたいですか? 逆に「こういう人は合わない」というのもあれば教えてください。堀下社長: やっぱり、自分自身も「チャレンジしている人間」がいいですね。うちの社員は、個人事業主だったり副業をしていたり、ほぼ全員が起業家なんです。逆に合わないのは、「他責な人間」「指示を待つ人間」「マニュアルがないと動けない人間」ですね。あとは、落ちているボールを見て見ぬふりする人も絶対に合いません。人間的に正しいことをするのが好きな人の方が合うと思います。山田: 厳しくも本質的ですね…! ズバリ、しびっくぱわーに入社すると一番鍛えられる能力は何ですか?堀下社長: 「人間的に信頼されるようになること」と、「言語化能力が身につくこと」です。 うちはフルリモート・フルフレックスで、関わる人は自分より忙しい人だという前提で情報共有を行います。抜け漏れなく、いかに少ない文字数で伝えるか。限られたリソースをどう使うかという責任を全うすることで、どこに出ても即戦力になるスキルとマインドが手に入ります。僕は基本的に、手を抜くことは許さないので(笑)。学生へのメッセージ「まずやってみろ、自分で決めろ」山田: 最後に、茨城でキャリアを築いていく若者や学生に向けて、メッセージをお願いします!堀下社長: まずやってみたらいいんじゃないですかね、何でも。 ただ、人に言われたことじゃなくて、「自分で決めたこと」をやり始めることはすごく尊いし、やり切ることはすごく大事です。だから、自分の好きなことをやったらいいと思います!【インタビューを終えて】 「そこそこの人生への危機感」から始まり、自ら挑戦して道を切り拓いてきた堀下社長。 「迷ったら全部やる」という言葉の裏には、他責にせず、自分の人生を「自己決定」するという強い覚悟がありました。 茨城には、こんな風に挑戦する人を全力で応援してくれる大人がいます。進路に迷っている学生や求職者の皆さんは、ぜひ一度、自分の直感を信じて「まずやってみる」ことから始めてみませんか?
株式会社 Plus One
【お店紹介】鹿島神宮の玄関口で「間」をデザインする。ジューススタンド「縁側」が Plus One にもたらす、目に見えない「サポート」という正義。
鹿島神宮の第一駐車場。参拝客が最初に目にし、最後に立ち寄るその場所に、小さなジューススタンド「縁側(えんがわ)」はあります。運営している株式会社Plus One代表の久保氏が抱く「原風景」と、組織を裏側から支える「役割」の形を追いました。イバキャリ学生ライターの鈴木が、インタビューから執筆までを行っております。「縁側」の心地よい空間の再現鈴木:本日はよろしくお願いします!まずは「縁側」というお店が始まった経緯と、その名前に込められた想いを教えてください。 久保 始まったきっかけは、鹿島神宮の駐車場のところにテナントが立つことになって、出店のお声掛けいただいたことでした。もともといっぱいテナントがあった場所を一度全部なくして、新しく作りますというタイミングでお誘いいただいたんです。鈴木:鹿島神宮の「玄関口」という非常に重要な場所での出店ですよね。 久保:そうですね 。店名の「縁側」というのは、僕が子供の頃に見ていた田舎の「家の縁側」がコンセプトになっています。昔の家って、畑仕事から帰ってきた人が、長靴を脱がずにそのまま縁側に腰掛けて、お茶を飲んで一服する...そういう風景があったじゃないですか。家の中というプライベートと、外というパブリック(公の場)の、ちょうど境界線にある「間(ま)」ですよね。鈴木:参拝の前後で、ふと一息つきたいタイミングに重なりますね。 久保:まさにそうです。神宮の奥にある「湧水茶屋一休」(詳細は他の記事をご覧ください)が、ゆっくり座って食事を楽しむ「奥座敷」だとしたら、ここは入り口にある「縁側」。参拝前の高揚感や、参拝後の心地よい疲れを、美味しい飲み物と一緒に整理してもらうための「間」を、いい時間にできたら素敵だなと考えています。展示会で出会った「本気ジュース」のストーリーに共感鈴木:提供されている「本気ジュース」についても伺わせてください。これは最初からこの商品で行こうと決めていたのですか? 久保:最初の出会いは展示会だったんですよ。そこで「本気ジュース」をやっているマス久本店さんというメーカーを見つけて、試飲をしたらおいしいなと思いました。専務さんから説明を聞いたら、すごく良いストーリーがあったんです。鈴木:展示会での出会いから、久保様が直接アプローチされたんですね。 久保:はい。その場で「うちやりたいです」って言いました。本来そこは、自然栽培で数が少ないから、本当に共感してくれる人にだけ売りたいという想いがあって、エントリーシートなどの選考に受からないと取引できないんです。でも、その場で伝えた熱意を気に入ってくださったのか、「久保さんだったら卸します」と、僕はエントリーシートも何も書かずに取引が始まりました。鈴木:まさに久保様の「共感」が道を切り拓いたんですね。 久保:今では実際にスタッフを連れて高知のゆず農家さんまで視察に行かせてもらったり、新作が出る前にサンプルを送っていただいたりと、12、3年という長いお付き合いをさせていただいています。縁側では、商品をテイクアウトで提供しています。テイクアウトは、飲食店と違って日常の空間で飲まれるものだからこそ、湧き水との配合を1cc単位で調整し、一口飲んだ瞬間に「本物だ」と伝わるクオリティを追求しています。売上では計れない「サポート」という役割の価値鈴木:「縁側」はグループ全体の裏方作業も担っているというお話がありましたが。 久保:はい。実は「縁側」はグループの中で売上規模としては一番低いんです。でも、社内の位置づけとしては「サポート」という大きな役割を担っています。例えば「湧水茶屋一休」のあんこを作ったり、そばを打ったり、「Espresso D Works」(詳細は他の記事をご覧ください)のパスタソースを仕込んだり、ドリンクカップに貼るシール貼りの内職をしたり...他店のサポートを縁側でいろいろやっているんです。鈴木:他店の大変な「裏方作業」をすべて引き受けているんですね。 久保:これ、組織をつくっていく上で凄く大事だと思っていて、飲食業界ってどうしても「売上が高い店舗が偉い」という空気になりがちですが、売上の低い「縁側」が他店を笑顔で助けている姿を見せることで、社内に「感謝のループ」や「助け合う文化」が生まれるんです。鈴木:組織全体の文化をこのお店が支えているんですね。 久保:そうですね。自分の利益より先に、相手を助けるという「見えない部分」を大事にしたい。働いている人たちが一番気にしているのは、社風や人間関係といった「見えない部分」ですから。その発信源として、縁側は大きな役割を担っているんです。「人」の尊さを守りながら、仕組みへとつないでいく鈴木:今、縁側を担当されているスタッフの方も、非常に前向きに仕事に取り組まれているようですね。 久保:彼女は本当にスペシャルですね。仕事へのエネルギーは人一倍あり、他人や他店のサポートを楽しんでできるような人です。他店の仕込みも「大変そうだから私にちょうだい」と自らもらってきたり、僕がまだ許可していないのに自分でそば打ちを練習してしまったり(笑)。そんな彼女のキャラクターがあるからこそ、今の「サポートの文化」ができています。鈴木:今後の課題としては、どのようなことをお考えですか。 久保:今は彼女という特定の個人に頼っている部分が大きいですが、今後はチームや「仕組み」で同じことができるように変えていかなければならないと思っています。属人性から脱却して仕組み化することは、いい文化を長く続けるためのうちの課題ですね。これからも鹿島の玄関口で、この「間」と「想い」を大切に守り続けていきたいです。インタビューを終えて株式会社Plus Onの中で、「縁側」というお店がどれほど大きな存在であるかを認識するインタビューになりました。組織には様々な役割があり、様々な価値の出し方があります。そのときに重要なのが、数字などの目に見えている価値だけでなく、まだ目に見えていないような無形の価値にも目を向けることだと思います。とある有名な評価ツールでは、評価の視点として「財務の視点」「顧客の視点」「社内業務プロセスの視点」「学習と成長(組織)の視点」の4つの視点があると言われています。詳細は長くなるため、ここでは書きませんが、このように評価や価値の出し方を様々な視点で多角的に見ていくことで、今回のようなお店の価値だけでなく、組織を構成している人それぞれの価値や重要性を見出すことができるのではないでしょうか。
株式会社キャリコ
なぜ、企業名を隠した合説を開催するのか。
なぜ「コトバとシゴト」というイベントを開催するのか今年、私たちキャリコが「言葉と仕事」というイベントを開催する理由は、とてもシンプルで、同時にずっと違和感を抱いてきた“ある当たり前”に対する問題提起でもあります。それは、就職活動や企業選びが「企業名」から始まりすぎているということです。企業名で選ぶ就活は、本当に本人のためになっているのか合同説明会に行くと、多くの学生がまず企業名やロゴを見てブースを回ります。「聞いたことがある」「大きそう」「有名だから」そうした理由で企業を選ぶこと自体が悪いわけではありません。ただ一方で、その時点で本当は合っていたかもしれない企業自分の価値観や強みが活きる仕事成長できる環境そういった可能性を、自分自身で無意識に切り捨ててしまっているケースが非常に多いと感じています。これは学生だけの問題ではなく、社会全体がつくってきた構造でもあります。 「良い会社=有名な会社」という空気の中で、選択肢が狭まっていく。 その結果、「自分が何を大切にして働きたいのか」を考える前に、企業名で判断してしまう。私たちは、そこに強い違和感を持ってきました。だからこそ、企業名を“隠す”という選択をした「コトバとシゴト」では、あえて企業名を伏せた状態でイベントを進めます。会社名・業種名・規模といった情報は、最初からは出しません。代わりに伝えるのは、どんな想いで仕事をしているのかどんな価値観を大切にしているのか日々どんな判断をして、どんな葛藤があるのか仕事を通じて、どんな人生を歩んでいるのかつまり、「仕事をしている人の言葉」です。企業名を隠すことで、学生は 「知っているかどうか」ではなく、 「自分がどう感じたか」「何に共感したか」で話を聞くことになります。これは、合同説明会へのアンチテーゼでもありますが、 それ以上に、「自分の感覚を信じて選ぶ」という体験をしてほしいという願いでもあります。「言葉」を起点に、仕事と出会うということこのイベント名を「コトバとシゴト」にしたのも、意図があります。仕事の本質は、職種や肩書きよりも前に、 どんな言葉で語られているかに表れると考えているからです。どんな言葉で仲間を語るのかどんな言葉で失敗を語るのかどんな言葉で未来を語るのかその言葉の選び方に、その人やその企業の“らしさ”がにじみ出ると考えています。学生には、 「この会社、名前は知らないけど、この人の言葉は好きだな」 「この考え方、自分に近いかもしれない」そんな直感を大切にしてほしい。そして同時に、 自分自身も“どんな言葉で仕事を語りたいか”を考えるキッカケになってほしいと思っています。1・2年生のうちから参加できる理由このイベントは、就活直前の学生だけを対象にしていません。 むしろ、大学1・2年生にこそ参加してほしいと考えています。理由は明確で、 就活が始まってからでは、どうしても 「内定」「条件」「周囲との比較」が判断軸になってしまうからです。まだ余白・考える余裕がある時期に、世の中にはどんな仕事があるのか働くことには、どんな選択肢があるのか自分は何に違和感を覚え、何にワクワクするのかそういったことを、評価も正解もない状態で考える。 それができるのが、1・2年生のタイミングだと考えています。「早く決める」ためのイベントではなく、 「考える軸を増やす」ためのイベント。 それが「コトバとシゴト」です。偶然を、意味あるキャリアに変えるという考え方このイベントの背景には、「プランド・ハプンスタンス・セオリー(Planned Happenstance Theory)」というキャリア理論の考え方もあります。これは、 キャリアの多くは事前に完璧に計画されたものではなく、 偶然の出会いや予期せぬ出来事によって形づくられていく、 という考え方です。重要なのは、「偶然を避けること」ではなく、 偶然が起きたときに、それを意味あるものとして活かせるかどうか。・知らなかった仕事に触れる ・想定していなかった価値観に出会う ・名前ではなく、人や言葉に心が動くこうした小さな偶然の積み重ねが、 後から振り返ったときに「自分らしいキャリア」につながっていく。「コトバとシゴト」は、 その“良質な偶然”を意図的につくる場でもあります。最後に:企業名を隠しているけれど、来ている企業はホンモノです誤解のないようにお伝えすると、 企業名は伏せていますが、決して“正体不明の企業”が集まっているわけではありません。実際には、 群馬県を代表するような、本当に良い企業、 人や仕事に誠実に向き合い続けてきた企業が、このイベントに参加してくれています。ただ、その魅力を 「会社名」ではなく 「人の言葉」から知ってほしい。それが、私たちキャリコが「コトバとシゴト」を開催する理由です。
株式会社キャリコ
ALL GIS AWARD アドバンス賞を受賞しました!
このたび、ALL GIS AWARD にてアドバンス賞を受賞することができました!応援してくださった皆さま、 そして日頃から関わってくださっている方々に、 心から感謝しています。本記事では、 「どんな内容のプレゼンをしたのか」 について、当日お話しした内容をもとにまとめます。原点は、前橋市主催の起業家セミナーでした今回のプレゼンは、 いきなり事業の話から始めたわけではありません。起業をすることになった原点からお話しをはじめました。私の群馬での創業の原点は、前橋市主催の起業家セミナーに参加したことです。↓下記は、その時のセミナー情報(めちゃくちゃ懐かしいです・・・。これ添付していいんですかね・・・。世の中に出ているものだからいいんですよね・・・?不都合ある方いらっしゃいましたらご連絡ください!)実は当時、私は GIS(群馬イノベーションスクール) の存在も知らず、GISを知ったのはGIS応募締切日のたったの 1日前 でした。「どうしようかな」と迷いながらも、 その夜、徹夜で申込書を書きました。今振り返ると、 あの徹夜で書いた申込みこそが、 私がいまここに立っている原点だったと思っています。GISで感じた「何者でもない自分」と最初の挑戦その後、GIS3期生として参加することになります。会場に行ってみると、 周りは経営者ばかり。 大学生だった私は、 語れる実績も、特別なスキルもありませんでした。「このままじゃいられない」そう感じた中で、 大学3年生のときに始めたのが 飲み会就活でした。起業家を目指していたわけではありません。 ただ、 場をつくることなら自分にもできるかもしれないそう思って始めた挑戦です。その挑戦を、 GISの皆さんは本気で応援してくれました。その中で、 群馬に居場所ができ、 群馬で挑戦する理由が生まれていきました。10年やり続けて残った言葉「キッカケデザイン」そこから約10年。 正解が分からないまま、 とにかく出会いをつくり続けてきました。その結果として生まれた言葉が、「キッカケデザイン」です。(商標登録申請中です。自分たちの言葉にしていきます。)キッカケデザインとは、 人や企業、地域の中にもともとある可能性が、 動き出す“きっかけ”をつくること。教えることでも、 無理に変えることでもなく、 キッカケをつくること。この考え方が、 今回のプレゼンの軸になっています。地域には良い企業がたくさんある。でも…プレゼンの中盤では、私たちが向き合っている 地域課題 についてお話ししました。地域には、本当に良い企業がたくさんあります。日本のモノづくりや価値を支えているのは、多くの場合、地域企業です。それにもかかわらず、企業側は、自分たちの価値や想いを十分に言語化・発信できていない。一方で若者は、会社の中身ではなく、ネームバリューや条件で選ばざるを得ない。これは、誰が悪いわけでもありません。ただ、構造的にすごくもったいない状況だと思っています。ストーリーが見えていない、という課題なぜ、こうしたことが起きるのか。私たちの仮説はシンプルです。地域企業のストーリーが見えていない。つまり、企業ブランディングが十分にされていない。でも視点を変えると、 地域企業こそ、 歴史や想い、人の物語にあふれた 「物語の宝庫」です。それらは、 きちんと言語化されれば、資産になる。AI時代だからこそ、物語が重要になるそして、これからは AIが仕事をレコメンドする時代になります。条件や会社概要だけでなく、 「どんな文脈や物語を持った企業なのか」が、 より重要になっていく。Web上に物語がなければ、そもそも選択肢に入らない時代が来る。だからこそ今、地域企業の物語を意図的に言語化し、残していく必要があると考えています。だから、グンキャリを始めましたこうした背景から生まれたのが、グンキャリです。グンキャリは、群馬県に特化した企業ブランディング × 採用広報メディア。条件で人を集めるのではなく、企業の想いや背景、ストーリーに 共感して集まる「共感採用」を軸にしています。グンキャリは 完全無料で、群馬県に法人があれば、どなたでも登録・掲載が可能です。企業自身が、自分たちの言葉で、物語を更新し続けられることも特徴です。私たちが大切にしているメッセージは、 「地域で挑む企業に、地域で挑む人材を」。Color the Stories.私たちが目指すビジョンは、 Color the Stories. ー物語が彩られた社会へ ー 伝えきれていない地域・人・企業の 物語 を発掘し、翻訳し、 新たな価値として社会に彩りを届ける。まずは群馬で型をつくり、北関東へ、そして全国へ。挑戦はまだ始まったばかりです!-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------今回の受賞について、正直な気持ちとしては、事業内容そのものよりも、GISに入学してからの10年間の過程を評価していただいたのではないかと感じています。 (私よりもビジネスとしての完成度が高いプレゼンがたくさんありましたので・・・。ありがとうございます。)そういえば、大人になってなにかの賞を受賞する機会はありませんでしたので、素直に嬉しかったですm(__)mこれまで以上に張り切って、張り切って、張り切って参ります!最後までお読みいただき、ありがとうございました!
株式会社キャリコ
AI時代の採用は、「文化を蓄積する会社」だけが選ばれる── 一過性の広告から、構造化とストーリーの時代へ
近い未来、私たちの働き方や企業選びは根本から変わろうとしている。 これまでの採用は「求人票を探す」「エントリーする」「比較する」という“検索の時代”だった。しかしAIが当たり前になりつつある今、求職者は求人を探さなくなる。代わりに、AIがあなたに合う会社を推薦してくる未来が、すぐそこまで来ている。Netflixの映画リコメンドのように、AIは求職者の価値観や性格、働き方の好み、地域志向、人間関係のタイプまで理解し、そこに合う企業を見つけてくれる。「この会社があなたに合う理由」までも言語化し、相性スコアとして示す。それがこれからの採用のスタンダードになる。しかし、この流れにはひとつ大きな前提がある。AIが企業の“性格”や“文化”を理解できるだけの情報が、その企業に蓄積されていること。今の求人広告は、その前提を満たしていない。むしろ、満たす構造になっていない。■ 一過性の広告では、企業文化は蓄積しない広告は基本的に“今すぐ採用したい”企業が、短期間で応募を集めるためにつくられたものだ。給与、福利厚生、勤務地、キャッチコピー。 確かに必要な情報ではあるが、これは企業のごく表面的な“点”しか描いていない。広告の情報は浅く、ストックされず、期間が終われば消える。広告は企業文化を蓄積する仕組みにはなっていない。企業が本当に持っている価値は、広告の「点」では伝わらない。企業の文化とは本来、社長が何を大事にしているか若手がどんな気持ちで働いているかチームの雰囲気仕事のやり方地域で果たしている役割その企業が何を信じているか歴史や変遷日常の小さな習慣こうした“温度”や“物語”の積み重ねでできている。 これらは広告では切り取れない。まして、3ヶ月の枠で伝わるはずがない。だから、どんなに広告を打っても文化が積み上がらず、AIに理解されるだけの厚みを持てない。 そして結果として、その企業は未来のAIマッチングに登場しなくなる。■ AIが求めているのは「文化データ」であるAIは、求人票などの箇条書き情報から本質的な“企業の性格”を理解することは難しい。 むしろAIが得意なのは、文章・会話・ストーリーなど、生きた情報を構造化することだ。たとえば企業のインタビュー記事をAIに読ませると、AIはこう動く。① 情報を要素に“分解”するPurpose(存在意義)Story(歴史)Values(価値観)Culture(働く空気)Team(社員の性格)Persona(求める人物像)文章のなかに散らばる意味の塊を細かく抽出する。② それを意味ごとに“整理=構造化”する株式会社キャリコでいうと、伴走文化挑戦文化地域志向若者育成型創造的組織社長の距離感このように、企業の「性格」が自動的に浮かび上がる。③ 求職者側も同じように構造化できる価値観(意義重視/安定志向など)成長欲コミュニケーションスタイル地域への興味働き方のタイプ④ 双方をAIがマッチングする「あなたとこの企業の一致率86%。理由は価値観と文化の一致です」この“構造化 → マッチング”が、未来の採用の標準になる。その入り口が、そもそも構造化できるだけの“文化データ”が、その企業に存在しているかどうかなのだ。■ だからこそ、ストーリーの蓄積が企業の武器になるストーリーは、AIにとって最高の“文化データ”だ。 社長の言葉、若手社員の声、会社の日常、背景、地域との関係、価値観の揺れ。 ストーリーは、企業の“らしさ”をもっとも濃度高く含んでいる。企業文化とはストーリーの地層だ。 一過性の広告が点を打つのに対して、ストーリーは線になり、面になり、そして文化になる。 構造化は、企業文化を“AIが読める情報”へと変換する作業だ。文化が蓄積されている企業は、AI時代に強くなる。 文化が薄い企業は、AIの推薦に乗らず、求職者に届かない。未来の採用は、 「情報量が多い企業」ではなく、「文化が厚い企業」が選ばれる時代になる。■ 地方企業こそ、この流れで勝てる地方企業はネガティブに捉えられがちだが、実はストーリーの宝庫だ。社長が近い人の温度が濃い地域との結びつきが強い若手が挑戦しやすい歴史が詰まっている存在意義がわかりやすいこれはすべてAIが好む“文化データ”であり、ストーリーとして表現しやすい素材だ。だから、ストーリーを丁寧に蓄積できる地方企業は、 AI時代の採用で強みを発揮できる可能性がある。実際、文化の厚みで勝負できるのは、歴史のある地方企業ならではの武器でもある。■ ストーリーを蓄積するメディアが、地域の採用インフラになる一過性の広告では文化が残らない。 企業の過去と現在と未来をつなぐ“物語のアーカイブ”こそ、これからの地域に必要とされる。つまり、 地域企業の文化を蓄積し、構造化可能な形でストックするメディアが不可欠になる。それが、グンキャリイバキャリトチキャリのようなローカルメディアの本質的な価値になる。地域企業の“文化データベース”をつくることは、 そのまま地域の未来の採用力をつくることになる。■ AI時代の採用は「価値観のマッチング」へ進化する求人票の時代は終わりつつある。 広告の時代はもう限界が見えている。 これから訪れるのは、文化 × ストーリー × 構造化 × マッチングが中心に来る採用の時代だ。求職者は自分に合う企業を“探す”のではなく、 AIが自分に合う会社を見つけてくれる時代になる。企業は広告を打つのではなく、 文化を蓄積し、ストーリーを伝えることで選ばれる時代になる。地方企業は知名度ではなく、 文化の厚みで勝負する時代になる。その未来において、 文化を蓄積し、構造化できる場所を提供する存在こそ、 地域の採用を根本から変える。■ 企業文化がAIに読み取られ、未来の採用を決める一過性の広告では何も残らない。 文化は時間をかけて積み重ねるしかない。だからこそ、 MVVやストーリーが必要であり、 文化を蓄積するメディアが必要であり、 構造化とマッチングが未来の採用を形作る。AI時代の採用は、 “文化がある企業”が勝ち、 “文化を蓄積するメディア”が地域を救う。グンキャリが掲げている方向性は、 この未来の中心に位置している。採用の未来は、広告ではなく文化だ。 データではなくストーリーだ。 検索ではなくマッチングだ。 そのすべてが、AIによってつながり、可視化されていく。これが、これから10年の採用の大きな流れだ。だからこそ、キャリコは採用広報メディアを”無料”で解放します。企業の規模や働く条件だけではなく、企業の想いや志の高さが、採用力になる未来を信じて・・・!
株式会社 Plus One
【お店紹介】明治から続く歴史を「変化」でつなぐ。鹿島神宮の境内に佇む、湧水茶屋 一休
茨城県随一のパワースポット、鹿島神宮。その広大な境内の最奥に一軒の茶屋があります。「湧水茶屋 一休(ひとやすみ)」明治初期ごろからおよそ160年、この場所で参拝客を迎え続けてきた茶屋は、代が変わるごとにその姿を柔軟に変えてきました。「守っているのは場所だけ」と語る5代目の久保氏が辿り着いたのは、母から受け継いだ「呼び込み」のスタイルではなく、自ら新潟の豪雪地帯で修行した手打ちそばや、湧き水にこだわり抜いた「商品」で人を呼ぶスタイルでした。神宮の森という非日常の空間で、1人のお客様を大切にし続ける。そんな想いを学生ライターの鈴木が、株式会社Plus One社長の久保氏にインタビューをさせていただきました。「代が変われば自由」明治から続く、変幻自在の160年鈴木:本日はよろしくお願いします!まず最初に、一休さんの歴史から伺いたいのですが、相当長く続けられていますよね? 久保氏:よろしくお願いします。創業はね、実は正確にはわかっていないんですよ。資料が残っていなくて。ただ、母に聞いた話では、江戸ではなく明治の初めくらい、150年から160年くらい前だと言い伝えられています。最初は参拝客が足を休める休憩所として始まって、甘酒なんかを出していたみたいですね。鈴木: 160年…!凄まじい歴史ですね。ずっと同じスタイルで続いてきたんですか?久保氏:いえ、うちは「代を継いだら、その人の自由」っていうのが面白いところでね。もちろん神宮が許可する範囲内ですけど、祖母の代は、完全なお土産物屋でした。母の代になって、だんごやお蕎麦を始めて、今の飲食に近い形になった。そして5代目の僕になってからは、お土産を大幅に縮小して、ほぼ完全に飲食店に振っています 。鈴木:伝統を守るというよりは、代ごとに形を変えてきたんですね。久保氏:そうですね。守っているのは、あの「場所」だけなんです。だからテレビや雑誌の取材が来ても、「創業明治」とは書かないでくれってお願いしているんですよ。明治からお蕎麦があったと誤解されちゃうと困りますから。あくまで「あそこの場所で商売を始めたのがその時期」というだけで、中身はコロコロ変わっているんです。先代からスタイルを変えた理由鈴木:久保さんの代でお土産中心から「飲食」へ大きく舵を切ったのには、何か理由があったんですか? 久保氏:実は、僕の母は呼び込みがすごく上手だったんですよ。お客様がスッと店に入ってきてくれる。それで商売が成り立っていた部分があったんです。でも、僕は営業とか呼び込みが苦手で、あんな風にお客様が店に入ってくださるのは無理だと思ったんです(笑)。鈴木:自分の性格に合わせた戦い方を考えたんですね。久保氏:はい。親以上のものにしたいというコンプレックスもありましたしね。自分には母の真似はできない。だったら「呼び込みで入ってもらう」んじゃなくて、「あの商品を食べよう」と思って来てもらうしかないと思ったんです。それで、目玉商品として「手打ちそば」を柱にすることにしました。鈴木:お蕎麦はもともとお好きだったんですか?久保氏:いや、実はうどん派だったんですよ(笑)。ところが、常連のお客様に「あなた、そば習ってきなさい」って、勝手に新潟の修行先を決められちゃって。断るわけにもいかず、めちゃくちゃ雪が積もる新潟の豪雪地帯に住み込みで修行に行きました。鈴木:強制的なスタートだったんですね(笑)。久保氏:修行に行くまではそば湯さえ知らなかったレベルですからね。でも、いざ自分で始めると、修行年数なんてお客様には関係ない。プロの土俵に上がったんだってことを痛感しました。30年やった人のそばだろうが、5年の僕のそばだろうが、同じプロとして比べられる。それからは必死に勉強して、地元や東京のお蕎麦屋さんでも修行させていただきました。今はスタッフもしっかり打てるようになっています。「湧き水」という個性を活かし切る工夫鈴木:一休さんといえば、お店のすぐ横で湧き出している水も有名ですよね。 久保氏:蛇口をひねれば湧き水が出てきますからね(笑)。ただ、あの水は実はちょっと使い勝手が難しいんです。日本の水にしては珍しく、ほんのちょっと硬めらしくて、出汁が出にくいんですよ。鈴木:水によって出汁の出方が変わるんですか?久保氏:全然違います。だからうちは、普通の蕎麦屋さんの1.3倍から1.5倍くらい鰹節を使います。そうしないと、水に負けて味がボヤけてしまう。コーヒーも、焙煎士さんに3ヶ月毎日水を持って行って、あの水に合うように実験してブレンドしてもらいました。鈴木:そこまでこだわっているんですね。久保氏:おだんごのあんこも自分たちで炊きますし、ジンジャーエールや甘酒も一から手作りです。あそこまでわざわざ足を運んでくださるお客様に、「来てよかった」と思える本物を出したい。その一心ですね。「掃除が一番大事な仕事」神宮の杜を守る責任感鈴木:お店の運営で、スタッフの方に一番伝えていることは何ですか? 久保氏:面接の時に必ず言うのは、「一番大事なお仕事は、周りの掃除です」ということです。鈴木:飲食の仕事なのに、掃除が一番なんですか?久保氏:うちは鹿島神宮の「境内の中」で商売をさせていただいています。もしお店の周りが汚かったら、お客様は「神宮の、あのお店のあたりは汚いね」って、神宮自体の評価を下げてしまう。それは絶対にやってはいけないことなんです。鈴木:なるほど。神宮の一部としての責任があるんですね。久保氏:神宮があるからうちの店がある。入ろうと思っても入れない場所で商売をさせてもらっている感謝を忘れてはいけない。参拝に来たお客様がホッとして、気持ちよく帰っていただけることが第一です。だから、本殿から700メートルもの長い道のりを歩いてきてくれたお客様一人ひとりに、感謝の気持ちを持って接してほしい。それはずっと伝えていますね。親子でぶつかり、売上を三割下げた苦い経験鈴木:これまで、お店を経営する中で苦労されたことはありますか? 久保氏:震災とコロナはやっぱりきつかったですね。震災の時は鳥居が倒れて神宮が立ち入り禁止になりましたし、コロナでも売上には影響がありました。でも、一番の努力…というか大変だったのは、親と一緒にやることの難しさかもしれません。鈴木:親子だと、やはり意見がぶつかることも?久保氏:揉めますね(笑)。僕がメニューを変えたのに、僕が休みの日に女将(母)が勝手に元に戻していたりして。一度は「俺のやることをやらせてもらえないなら辞める!」とブチ切れたこともあります。鈴木:それは激しいですね…。久保氏:その時に母から言われたのが、「売上が上がるんだったら口を出さない。下がるんだったら口を出す」という条件でした。それからは、どうやったら売上が上がるか必死に考えましたね。でも、観光地の難しさを知ったのもその頃です。自分のやり方でメニュー表を全部変えたら、一気に売上が三割も落ちたんですよ。鈴木:三割も!何が原因だったんですか?久保氏:観光地の店って、ドアが全部空いていて、お客様はメニューをちらっと見て気に入らなければすぐ出ていってしまうんです。僕のやり方は当時の観光地のお客様には合わなかった。母のやり方は「ダサい」と思っていたけど、実は理にかなっていたんです。そこから試行錯誤して、今は震災やコロナを乗り越えて、一番いい状態まで成長させることができています。何億積んでも買えない、非日常の景色の中で働く鈴木:鹿島神宮の境内の中という特別な環境でお店をやられていると思うのですが、それについて久保さんはどう感じていますか? 久保氏:昔、修行中に「あんな場所で仕事ができるなんて幸せだ」って言われたことがあるんです。何百年の歴史があるあの景色は、何億積んでも作れない。そこで仕事ができるのは幸せだと思った方がいいぞって。鈴木:確かに、あの深い森の静けさと池の透明感は特別ですね。久保氏:車の音もしない、自然の音しかない場所です。気温も本殿のあたりより1度くらい低くて、一歩入った瞬間に空気が変わるのを感じますよ。実際、学者さんが来て「ヘイケボタルとゲンジボタルがどちらも出るのは珍しい」なんて言っていたり、店の裏に咲いた珍しい花を3ヶ月間も観察しに来たりすることがありました。それくらい、ここは特別な環境なんです。鈴木:そんな特別な場所での営業には、どんな想いをもっていますか?久保氏:一人一組のお客様をどこまで大事にできるか。お客様が来てくださるのが当たり前と思わず、長い距離を歩いてきてくれたことに感謝できる、そんなお店でありたいと思っています。これからも鹿島神宮という特別な場所を大切に想い、お客様を温かく迎えられるように日々頑張っていきたいです。不便な場所ではありますが、他にはない景色の中で、自分たちの手で価値を作っていく。そんなやりがいやおもしろさがある、素晴らしいお店だと思います。インタビューを終えて久保氏のお話を聞いて強く心に残ったのは、鹿島神宮への「感謝」と「責任」でした。インタビューでもあったように、非常に特別な環境下で営業を続けていると思います。その中で様々な苦労もあったと思います。「湧水茶屋 一休」さんは、代によって営業スタイルが変わるという形態ととっていると思うのですが、あの場所(神宮の境内の中)で仕事をするという「感謝」と「責任」だけは代々引き継がれていっているものであると強く感じました。また、別記事にもある「Espresso D Works」と同様に、お客様一人ひとりと真摯に向き合う姿勢も印象的でした。
海老根建設株式会社
【社長インタビュー】 100年の伝統と改革の歴史、地域と社員の幸せを最優先に掲げる海老根建設の真価
茨城県大子町という、美しい自然に囲まれた町で、大正5年の創業から100年以上にわたりインフラを支え続けてきた海老根建設株式会社。社長の柳瀬香織氏が行っている、業界の常識を鮮やかに塗り替える「働きやすさ」への挑戦や地域貢献に対する想いに迫りました。学生ライターの鈴木が、海老根建設株式会社社長の柳瀬氏にインタビューをさせていただきました。地域の「当たり前」を支える”インフラドクター”の誇り鈴木:本日はよろしくお願いいたします。まず伺いたいのが、海老根建設様が大子町という地域で果たされている役割についてです。ホームページなどを拝見しても、非常に地域への想いが強いと感じました。柳瀬氏:私たちの拠点である大子町は非常に過疎化が進んでおり、田舎だからこそ車がないと生活が成り立ちません。道路が常に綺麗で安全であることは、住民の皆様が生活を送る上で必要不可欠な要素です。私たちは「地域ナンバーワンのインフラドクター」になろう、という志で事業に取り組んでいます。鈴木:「インフラドクター」という言葉、とても素敵ですね。具体的にはどのような事業をされているのでしょうか?柳瀬氏:メインは土木工事ですが、最大の特徴は「法面工事」を手がけている点です。これは山の斜面が崩れないように成形してコンクリートを吹き付ける専門技術で、茨城県内でも対応できる会社はわずか3社しかありません。鈴木:県内でたったの3社!それは凄い強みですね。柳瀬氏:さらに強みなのは、土木工事と法面工事の両方を自社で行えることです。他社さんだと法面工事専門ということが多いのですが、私たちは最初の「山を削る作業」から仕上げまで、一気通貫で対応できます。だからこそ、「海老根さんなら全部任せられる」と頼っていただける。その信頼が私たちの誇りです。自社も被災しながら真っ先に地域へ。100年続く「共生」のDNA鈴木:地域との繋がりという点では、2019年の台風被害の際のエピソードが非常に印象的でした。柳瀬氏:2019年の台風では、私たちの本社も浸水する被害を受けました。電話もファックスも車も使えなくなるという絶望的な状況でしたが、私たちは真っ先に近隣の個人宅へ片付けのボランティアに向かいました。鈴木:自社が被災している中で、なぜそこまで他者のために動けたのでしょうか?柳瀬氏:周りはお年寄りの方々ばかりですから、自分たちで重いものを運んだり片付けたりすることは難しいと思います。自分たちを「地域の守り手」だと定義しているからこそ、有事の際に地域のために動くのは、海老根建設として当たり前の判断でした。100年続いてきたのは、地域の方々と共に生きてきたから。経営理念である「貢献・共生」が、理屈ではなく行動として社員の中に染み付いていると思います。業界の常識を覆した月給制への転換鈴木:制度面についても伺わせてください。建設業界、特に現場で働く技能者の方は「日給制」が一般的というイメージがありますが、海老根建設様は違うとお聞きしました。柳瀬氏:はい。私たちは技能職も含めた全員を「完全月給制」にしています。これは6〜7年前に私が決断して切り替えたものです。鈴木:業界の慣習を変えるのは大変だったのではないですか?切り替えた理由を教えてください。柳瀬氏:日給制だと、雨で現場が休みになればその日の給料はゼロになります。梅雨の時期などは収入がガクンと減ってしまう 。それでは社員が安心して生活できませんし、若い人も入ってきません。 「週休二日制をやるなら、まず月給制にしないと休めない」と考えたんです。今では雨の日でも給料は変わりませんし、技能者であっても有給休暇をバンバン使って休める環境が整っています。社員の「困りごと」を即座にルール化する、手厚い有給制度鈴木:有給休暇についても、「子ども休暇」や「ウェルネス休暇」など、名前からして温かい制度がたくさんありますね。柳瀬氏:これらはすべて、問題が起きてから「どう解決するか」を話し合ってルール化したものです。 例えば、以前男性社員から「子どもの送り迎えが必要だけど、ルールがないと上司に『また抜けるのか』と言われてしまう」という声がありました。そこで「時間単位の有給取得」を始め、さらにお子さん1人につき年5日間の有給を付与する「子ども休暇」を導入しました。鈴木:社員の方々を第一に考え、意見を反映させた結果、このような多種多様な制度が出来上がったのですね。柳瀬氏:ほかにも、ボランティア休暇やドナー休暇、多目的休暇などがあります。また、建設業にしては珍しいのですが、リモートワークも導入しています。他の地域で副業をやっていたり、体調を崩してから運転に不安があった社員などがリモートワークを活用しています。 「せっかく入った人に辞めてほしくない」という一心で、どうすればこの人が働き続けられるかを突き詰めた結果、今の形になりました。スキルよりも「好奇心」。ミスマッチを防ぐための徹底した本音主義鈴木:採用についても伺わせてください。これだけ手厚い制度を整えられている海老根建設様ですが、採用活動において柳瀬社長が最も大切にされているポイントは何でしょうか。柳瀬氏:私は、「正直に伝えること」が何より大事だと思っています。採用の場ではどうしても会社を良く見せようとして「良いこと」ばかりを言いがちですが、入ってみて「思っていたのと違う」となってしまうのは、お互いにとって一番の不幸、ミスマッチですから。だからこそ、本当のことを本音で伝えるようにしています。鈴木:飾らない本音での対話を重視されているのですね。具体的に、どのような方と一緒に働きたいとお考えですか?柳瀬氏:よく「コミュニケーション能力が必要だ」と言われますが、それは相手によって発揮できる場合もあれば、できない場合もありますよね。だから私は、能力よりも「好奇心」が旺盛な方に来ていただきたいと思っています。鈴木:好奇心、ですか。柳瀬氏:はい。「知らないことを知りたい」という力です。分からないことがあった時に、素直に先輩に聞けるかどうか。その好奇心の強さが、そのまま成長の速度に繋がると最近特に感じています。鈴木:現場では、どのような個性が集まっているのでしょうか。柳瀬氏:私たちの会社の、 事務や経理、人事を担当する建設ディレクター課のメンバーは、非常に細かなことに気づく几帳面な方が多いですね 。一方で、現場を仕切る技術者は、どちらかというと大雑把で豪快なタイプが多いです(笑)。鈴木:対照的なタイプですね。柳瀬氏:ですが、その「細かさ」と「大まかさ」が組み合わさることで、一方が抜けているところをもう一方が補完し合えるんです。その調和・バランスこそが、海老根建設という組織を強くしているのだと感じます。鈴木:「人の不足」という業界全体の課題についてはどうお考えですか?柳瀬氏:深刻な課題ですね。実際、人がいないために仕事を断らざるを得ないこともあり、非常にもったいないと感じています。会社としては、外国人人材の方に注目していて、現在は2名の技能実習生が活躍してくれていますが、彼らは3年で帰国してしまいます。一生懸命教えても3年でいなくなってしまうことは、教える側のモチベーション維持という面でも難しい部分がありました。鈴木:だからこそ、新しい形での採用を模索されているのですね。柳瀬氏:はい。今後は技能実習という枠組みだけでなく、より長期的に共に働ける外国人の方の雇用を積極的に進めていく方針です。人手不足という課題を解決するには、海外の方の力に頼ることは不可欠であり、会社としてその道を切り拓いていこうと考えています。中小企業だからこそ、社外に「同期」を作る鈴木:人材育成の面でも、非常にユニークな取り組みをされていますよね。特に「外の空気」に触れさせることを重視されているとか。柳瀬氏:中小企業だとどうしても同期が少なくて、社内だけで育つと視野が狭くなってしまうのが心配なんです。だから新入社員には、1年間月に1回、必ず社外の同期の人たちと会う機会を作っています。鈴木:あえて外に仲間を作らせるのですね。柳瀬氏:技術だけ持っていればいいという時代ではありません。外の人と会い、自分の考えを伝えたりグループワークをしたりすることで、社会人としての「対話力」や「プレゼン能力」を磨いてほしいんです。 現場のトップに立つようなベテラン社員にも、あえてそのような研修の場へ行ってもらっています。「人と喋りたくない」なんて言いながら行ってますけどね(笑)。ただ、それが結果的に本人の、そして会社の成長に繋がると信じています。インタビューを終えてインタビューを通じて感じたのは、海老根建設という組織の「しなやかな強さ」です。「インフラドクター」としての確かな技術という伝統を守りながら、柳瀬社長は「社員が困っている」という事実に対して、驚くべきスピードで制度を取り入れ、組織を変化させ続けています。 この変化スピードこそが、海老根建設さんが長きにわたって事業を展開し続けられている理由なのかもしれません。
海老根建設株式会社
【社長インタビュー】 アパレル出身の女性社長が築いた「誰一人見捨てない」組織。座右の銘「すぐやる」に込められた、次世代へ繋ぐ覚悟
男社会の象徴とも言える建設業界で、長年にわたり社長として舵を取り続けてきた海老根建設株式会社社長の柳瀬香織氏。アパレル業界からスタートしたキャリアを持つ柳瀬氏は、なぜ未知の領域で圧倒的なリーダーシップを発揮できたのか。そこには、過去の失敗から学んだ「即断即決」の哲学と、業界の未来を見据えた独自の視点がありました。自身も「後継ぎ」という立場に立つ学生ライターの鈴木が、インタビューをさせていただきました。「いずれ継ぐしかない」――半ば“諦め”から始まった、異業種への転身鈴木:今回のインタビューでは、柳瀬社長ご自身の歩みに焦点を当てたいと思います。社長は最初から家業を継ぐつもりでいらしたのでしょうか。柳瀬氏:いえ、全然(笑)。最初は全く関係のないアパレルの会社に勤めていたんです 。でも、あるとき親から「戻ってきてほしい」と言われて戻ってきました。私は三人姉妹の長女で、下に男兄弟はいませんでした。だから、いずれ私が継ぐしかないんだろうなという、当時は半ば「諦め」に近い気持ちでしたね。鈴木:当時の建設業界といえば、今以上に「男社会」のイメージが強かったと思うのですが、苦労されたご経験はありますか?柳瀬氏: はい。当時は女性が現場にいること自体が本当に珍しい時代でした。言うことを聞いてもらえなかったり、理不尽な思いをしたりすることもありました。でも、私は現場のことも何も分からず、ただ机に座って書類を作っているだけの人間が社長になるのは、どうしても納得がいかなかったです。鈴木:それで、あえて現場に飛び込まれたのですね。そのご経験を今はどのようにとらえていらっしゃいますか?柳瀬氏:そこで働いている人たちが「何に悩み、何に嫌な思いをしているのか」を肌で知ることができたのは、大きな財産です。あのときの経験があるからこそ、現場で働く皆さんの気持ちが分かり、今の「人を大切にする制度」につながっているのだと確信しています。建設業界の女性を「特別な存在」から、「当たり前のパートナー」へ鈴木:柳瀬社長は建設業界の女性活躍に対して積極的であるそうですが、建設業界の女性活躍についてどのような想いを持たれているのですか?柳瀬氏:今の建設業界における女性は、まだ「動物園のパンダ」のように珍しく、どこか遠い特別な存在として扱われがちです。ですが私は、建設現場で働く女性が、まるで家で家族と共に過ごす犬や猫のように、誰もが「当たり前のパートナー」として受け入れられるように変えていきたいと考えています。鈴木:「当たり前」にするために、まずはその第一歩を支える環境作りをされているそうですね。柳瀬氏:はい。一人ひとりが孤独に頑張るのではなく、手を取り合える場所が必要だと思い、茨城県建設業協会の女性部会「建女ひばり会」を立ち上げ、代表に就任しました。この会では、県内の女性技術者や事務方が集まり、現場見学会や勉強会、意見交換を行っています。まずは「自分だけじゃないんだ」という安心感や横の繋がりを作る。そうして女性が活躍するロールモデルを一つずつ増やしていくことで、いつの日か女性が建設業を「特別な決意」が必要な仕事ではなく、自分の可能性を当たり前に試せる場所として選べる未来を創りたい。そんな「当たり前」を実現していきたいと考えています。「ワンチーム」で挑む現場。仲良しな職場の根底にあるもの鈴木:少し話がそれますが、職場に関して制度が整っているだけでなく、社内の雰囲気も非常に良いと伺いました。柳瀬氏:そうですね、意外と和やかな感じだと思います。先輩たちが「お兄ちゃん」のように後輩に接していたり、仕事に関係ないプライベートな相談に乗っていたりすることもありますね。もちろん、今の若い方は適度な距離感を望む人もいるので、そこは人それぞれの付き合い方を尊重しています。鈴木:建設業は危険も伴う仕事ですが、その仲の良さは現場にどう影響していますか?柳瀬氏:建設現場は「ワンチーム」なんです。不安全な行動は自分の命、仲間の命に関わります。だからこそ、安全を守るためにも仲間を大事にする、コミュニケーションを取るということが何より重要になります。お互いを思いやり、全員で良い方向に進むという意識が、現場の安全と品質を支えているんです 。わずか数日の遅れが命取りになる。一人の離職から学んだ「すぐやる」哲学鈴木:柳瀬社長が経営において最も大切にされていることは何でしょうか。柳瀬氏:「頼まれたら断らない、誘われたら断らない」、そして何より「すぐやる」ことです。実は、この「すぐやる」という姿勢には、私の経営者人生において決して忘れられない苦い経験が背景にあります。鈴木:ぜひ、その原点となったお話を聞かせてください。柳瀬氏:昔、ある現場で作業員がトラブルで怪我をしてしまい、お互いの主張が食い違って感情的な対立が生まれたことがありました。私は本人の家に行って直接話を聞くべきだと思っていましたが、当時はあまりに忙しく、訪問を後回しにしてしまいました。鈴木:そのわずかな遅れが、大きな結果を招いたのですね。柳瀬氏:はい。訪問した時には既に彼の心は離れてしまっており、結果として彼は会社を辞めてしまいました。一日、二日の遅れが、信頼関係を修復不能にしてしまったんです。人の感情が絡む問題は、時間が経つほど複雑になります。 「あのときすぐに行っていれば」。その時の悔しさが、今の私の鉄則になりました。どんなに忙しくても、問題が起きたらその瞬間に向き合う。絶対に先送りにしない。それが経営者としての私の責任です。デジタル技術で「かっこいい建設業」へ。ITの力が若者の可能性を広げる鈴木:これからの海老根建設を担う若手の方々には、どのような期待を寄せていますか?柳瀬氏:建設業は今、大きな変革期にあります。測量のデジタル化やICT技術をどこよりも早く取り入れ、圧倒的な生産性を実現する「ITに特化した建設業」を目指しています。そのためには、ITの知識や新しいものへの好奇心を持つ若い力が必要不可欠です。鈴木: 「建設ディレクター」という職種の方も専門的に活躍されているそうですね。柳瀬氏:はい。データ作成などを通じて現場を強力にバックアップしています。現場の大雑把なところを建設ディレクターが細かくフォローする、その調和が今のうちの強みです。 ITの活用は、単なる効率化ではありません。重労働や危険を減らし、建設業を若者が「面白い」「かっこいい」と思えるクリエイティブな仕事に変えていく力だと信じています。100年の先へ。次世代へつなぐ「継承」の新しい形鈴木:会社の「継承」についても、非常に柔軟な考えをお持ちですよね。柳瀬氏:はい。私には娘がいますが、彼女は全く別の道で頑張っています。私は、無理に親の跡を継がせる必要はないと考えています。それよりも、今会社の中で頑張ってくれている、経営の資質がある人を役員に抜擢し、次の世代へバトンをつないでいくことが重要だと思います。鈴木:血縁にこだわらず、意志を継ぐ人を育てるのですね。柳瀬氏:100年以上続いてきたこの会社と、ここで働く社員を守り抜くこと。それが、私の最後の大きな仕事だと思っています。形を変えながらも、海老根建設の精神が次の100年も続いていくよう、全力を尽くす覚悟です。インタビューを終えて今回は、海老根建設株式会社の柳瀬社長にお話を聞かせていただきました。経営者として、人として、様々な面から柳瀬社長を知ることができたように感じます。「建設業の女性社長」という昔では珍しい立場でいらっしゃる柳瀬社長の経験や考え方は、自分が逆境に立たされたり、苦労を強いられたりするときの考え方として勉強になったと思います。また、経営者としての、仲間を大切にする気持ちや社会への貢献意識といった部分は、将来の自分にも通ずるところがあると思うので、自分もしっかりと考えて生きていきたいと考えました。
株式会社 Plus One
【お店紹介】 鹿嶋に“非日常”を。都内で人気の「Espresso D Works」が鹿嶋に上陸 コロナ禍でのオープン秘話と、全員で支え合う“助け合い”の日常
茨城県鹿嶋市のスタイリッシュなベーカリーカフェ「Espresso D Works(エスプレッソ ディー ワークス)」。都内で圧倒的な人気を誇るブランドのフランチャイズ1号店として知られるこの店には、オープンまでの知られざる苦労と、社長が守り抜きたかった「ある想い」がありました。学生ライターの鈴木が、株式会社Plus One社長の久保氏にインタビューをさせていただきました。10年来の片思い。一週間で決めた「運命の物件」鈴木:まずは、この場所に「Espresso D Works(以下、EDW)」をオープンさせた経緯から教えてください。久保氏:実はあそこの場所は、10年以上前から「いつかここで何かやりたい」と狙っていた場所だったんです。スタッフにもずっと言い続けていました。そうしたら2020年の年明けに、偶然空きが出ました。いろいろな人から「あそこ空いたよ!」と電話がかかってきて、もう一週間で契約を決めました。鈴木:10年越しの想いが形になったんですね。でも、最初からEDWをやると決めていたわけではないとか?久保氏:そうなんです。物件は押さえたものの、何をやるか決まっていなかったです(笑)。ただ、都内のEDWにはお客さんとして何度も通っていて、「こんなカフェが鹿嶋にあったらいいな」という憧れはありました。そんな時、共通の知人の縁で本部の社長さんと繋がったんです。鈴木:当時、EDWはフランチャイズ展開をしていませんでしたよね。久保氏:はい。「プロデュースしてほしい」とお願いしに行ったら、「やっていないんです」と断られまして。でも、話しているうちに「それならEDWのフランチャイズになっちゃいますね」という話になり、なんと1号店としてやらせていただけることになりました。まさに運命的な巡り合わせでした。コロナ禍の決断と覚悟鈴木:順風満帆に見えますが、オープン直前はまさにコロナ禍の真っ只中でした。久保氏:2020年4月、緊急事態宣言が出て、うちの全店舗を休業にしました。給料は100%保証して全員休ませましたが、毎月数百万円単位でお金が消えていく。そんな中でEDWへの莫大な投資を判断しなければなりませんでした。鈴木:冷静に考えれば、撤退という選択肢もあったはずです。久保氏:悩みました。でも、当時閉めることが決まっていた別店舗のスタッフたちの顔が浮かんだんです。EDWをやらないとなれば、スタッフたちの働く場所がなくなってしまう。「人を大事にする」と言い続けてきたのに、ここでスタッフたちを路頭に迷わせたら、自分の中の大事な何かを失ってしまう気がしたんです。「もし失敗しても、俺が自己破産すればいいだけだ。死ぬわけじゃない」 、そう腹をくくって、ゴールデンウィーク明けに「やります」と返事をしました。最後は、みんなで一緒に進んでから倒れよう、という一発勝負でしたね 。鹿嶋に「都内」という非日常を鈴木:そうした覚悟を経て2021年1月にオープン。EDWのコンセプトを教えてください。久保氏:コンセプトは「美味しい料理とドリンクを提供するハイクオリティなカフェ」です。一番の強みは、都内のおしゃれな空間とクオリティがそのまま鹿嶋にあるということ。パンも一から手作りしています。鈴木: お客様からはどんな反響がありますか?久保氏: 「鹿嶋っぽくない」「都内に来たみたい」と言っていただけるのが一番嬉しいですね。大学生の子が土日に「ちょっといい時間を過ごしたい」と来てくれたり、非日常を楽しんでもらえる場所。気持ちが上がる空間を提供できている自負はあります。「お大事に」が飛び交う、優しさが循環する職場鈴木:働く環境についても伺いたいのですが、EDWにはどんなカルチャーがありますか?久保氏:今は組織の土台を作り直している過渡期ではありますが、根底にあるのは「助け合い」です。うちは女性やママさんも多いので、お子さんの急な熱などで休みが必要になることは日常茶飯事です。鈴木:飲食店だと、急な休みは肩身が狭いイメージもありますが...。久保氏:うちは違います。社内SNSで「代わりに出るよ!」「お大事にね」という言葉が自然に飛び交います。二週間誰も休まないなんてことはほぼないですから(笑)。お互い様というスタンスが浸透しているのは自慢ですね。鈴木:それは安心ですね!未経験からでも挑戦できるのでしょうか?久保氏:もちろんです!むしろ今のスタッフも未経験ばかりでした。オンライン研修や店長会議への参加などの、本部の手厚い教育プログラムが整っているので、働きながら自然とスキルアップできます 。求めるのは、スキルよりも「楽しくしようとする心」鈴木:最後に、これから一緒に働く未来の仲間へメッセージをお願いします。久保氏:「明るく前向き」...。言葉にすると無難ですが、これが一番大切です。仕事が楽しいかどうかは、環境が3割、自分が7割だと思っています。「楽しい場所に行きたい」というよりは、「自分で楽しくしよう」と思える方と一緒に働きたいですね。鈴木:少し「ハードルが高い」と感じている求職者の方もいるようですが。久保氏:全然そんなことないですよ!「おしゃれなカフェで働いてみたい」「誰かを笑顔にするのが好き」という純粋な憧れで十分です。気軽に応募して、まずは一度お話しできれば嬉しいです。インタビューを終えてインタビューを通じて感じたのは、久保社長の「場」と「人」に対する異常なまでの誠実さです。「イバキャリ」としても、こうした想いのある企業を一人でも多くの若者に届けていきたいと強く思いました。
株式会社キャリコ
イバキャリへの想い――群馬での原体験から、茨城、そして北関東の未来へ――
序章:群馬県での原体験私が「地方の企業の魅力をもっと若者に伝えたい」と強く感じたきっかけは、群馬県が主催し、私の会社キャリコが企画運営を担当した「ぐんま就活バスツアー」でした。ツアーで訪れたのは、県内でも有数の精密部品製造メーカー。正直に言えば、企画に関わるまで私はその会社の名前すら知りませんでした。工場に足を踏み入れた瞬間、現場の熱気に圧倒されました。機械音が響き、作業員の方々が真剣な眼差しで製品を組み立てている。そこで出会った工場のおじさんが、まるで少年のような瞳で自社の製品について語ってくれたのです。 私には、その情熱がとてもかっこよく映りました。しかし、ツアーに参加していた大学生たちの反応は違いました。製品の専門的な説明は難しすぎて、何がすごいのか理解できない。彼らには、ただ暑苦しいおじさんが話しているように見えてしまったのかもしれません。さらに衝撃だったのは、参加者の多くが「こんな大きな会社が地元にあることを知らなかった」と言っていたことです。これが現実なのだと、胸がざわつきました。気づき:伝わらない企業の魅力このとき、私は気づきました。日本では「働く」ということと「教育」があまりにも分断されている。多くの学生は大学3年生になってから急に就職活動を始め、「とりあえず内定を取れればいい」というスタンスになってしまう。そこに主体性はなく、仕事に対してネガティブな印象を持っている人も少なくありません。また、企業側にも課題があります。製品そのものは世界的に通用する技術を持っているのに、その価値を若者に伝える「翻訳」ができていない。説明が専門的すぎて、日常生活との接点やストーリーが見えない。Z世代はストーリーテリングに慣れています。だからこそ、「なぜその製品が存在するのか」「誰のどんな課題を解決しているのか」という物語を語る必要がある。写真や映像の活用不足、プレゼン力の弱さも目立ちました。現場の雰囲気や社員の笑顔、製品が使われている場面をもっと見せるだけで、印象はガラリと変わります。イバキャリ構想の誕生群馬での経験を通じて、この課題は群馬だけでなく、私の地元・茨城県にも共通していると確信しました。特に茨城の製造業には、精密部品や最先端の技術を持つ企業が数多く存在します。しかし、その多くは若者に知られていません。さらに、茨城は東京に近いという地理的メリットがある反面、その近さが若者の流出を加速させています。「東京でホワイトカラーの仕事をした方がかっこいい」という価値観が根強く、地元で働くことは泥臭く見られがちです。でも私は思うのです。 東京の華やかな仕事も、実は地方の製造や物流などの基盤があって初めて成り立っています。地方の一次産業・二次産業がなければ、首都圏の経済は回りません。そこで生まれたのが「イバキャリ」です。 企業の魅力を若者に“翻訳”して伝える仕組み。企業説明資料を若者目線で編集し直す。現場で働く人のストーリーを掘り起こす。そして、中高生や大学生が「働くって面白そうだ」と思えるきっかけを作る。茨城と北関東の可能性北関東三県(茨城・栃木・群馬)の人口は約670万人。これは北海道や福岡県を大きく上回る規模です。マーケットとしては決して小さくありません。 特に茨城県は、つくば市をはじめ研究・教育機関が集積し、人口が増加している地域もあります。つくば市では新たに小学校が増設されるほど、若い世代が流入しています。また、北関東は東京からのアクセスが良く、IT化やDXの導入によって、これまで首都圏でしかできなかったような仕事も可能になりつつあります。製造業においてもIoTやAIを活用したスマートファクトリー化が進み、現場の働き方は大きく変わろうとしています。企業と若者をつなぐ翻訳者としてイバキャリが目指すのは、単なる求人サイトではありません。 私たちは、企業と若者の間に立つ“翻訳者”です。社長が語る熱い理念や、現場で働く社員の誇りを、若者にも届く言葉に変える。時にはくすっと笑える小ネタを交えながら、企業のストーリーを描く。それが、採用力の向上だけでなく、地域の魅力を高めることにもつながります。精密部品製造業のように、一見すると地味に見える仕事でも、その先には自動車・医療機器・宇宙産業など、世界を支える大きな役割があります。そこに誇りを持てる人材を増やすことこそ、地方創生のカギだと考えています。未来に向けたビジョン私はもっと、中高生のうちから「地元にも面白い仕事がたくさんある」と知ってもらいたいと思っています。社会に出る前から多様な選択肢に触れ、自分の興味や価値観を育む。そうすれば、就職活動が「とりあえず内定を取るためのレース」ではなく、自分らしいキャリアを選ぶ機会になるはずです。同時に、企業も採用・広報を内製化だけに頼るのではなく、アウトソースを活用しながら現場の生産性を高める時代です。RPO(採用代行)を含め、地域の採用力を底上げする仕組みを整えることで、北関東全体の魅力を引き上げたいと考えています。茨城でも、群馬でも、そして北関東全体でも。 光る企業は必ずあります。その魅力を見つけ、言葉にし、映像にし、若者に届ける。イバキャリはそのために生まれました。 そしてこの活動は、地域に根付く企業を元気にし、そこで働く人々の誇りを取り戻すことにつながると信じています。